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2010年10月 アーカイブ

アメリカの大恐慌 7

ある歴史家は、フーバー大統領の自由経済的哲学を批判して、

「この消極一点ばりの理論の根拠がいかに高遙なものであれ、これが人心に1つの強い影響を与えたことは事実であった。それは無能力ということだった。かくて政府は危機を前にして、まったく施す術を知らなかった」

と述べています。

1933年3月4日、ワシントンのキャピトルには春とはいえ、雲が重くたれこめ、底冷えのする日でした。


正午かっきり、この日から12年以上、そしてその死に至るまで、アメリカ史上かつてなき長期政権の座についたフランクリン・D・ローズベルトは、上院の大統領の就任式において、彼の家に300年も伝わってきたオランダ製バイブルで宣誓をすませました。

待っていた群衆の前で、新大統領はよく通る声で就任のあいさつをはじめますが、これは同時にラジオによって全国民の耳にも伝わっていきました。

「・・・わたくしはここではっきり申し上げたい。われわれが恐れなければならないただ1つのことは、恐れそのものであること名前のない、理屈に合わない、いわれのない恐怖こそが、後退を転じて前進となすのに必要な力を麻痺させているのだということを・・・」

このように、のちにしばしば引用されるようになった言葉が出てくるにしたがい、聴衆は次第に興奮しはじめていました。

アメリカの大恐慌 8

ローズベルトの声は、なお力強く寒空に響きました。

「・・・アメリカは行動を必要としている。今すぐの行動である。・・・われわれは行動を起こさねばならない。しかも今すぐ行動しなければならない・・・この行動はあまりにも引き延ばされた。現在ほど行動を必要としている時はない。この未曾有の難局のために、通常の手続きやしきたりなど、しばらくかまっていちれないことになるかもしれない・・・」。

たしかに1日も早く行動が必要なときに、ローズベルトは大統領に就任したのです。

その日ほとんどアメリカ中の銀行が閉鎖され、未曾有の金融危機に直面していたからです。


いわゆる「銀行休日」は1932年10月ネバダ州ではじまり、翌33年2月には中西部に飛び火。

そしてついに3月はじめには、新旧両政府の共同のもとに、財務省が全国に向けて銀行休日を要請するという危機に直面していました。

年初から内外に流出する金準備は71%も減少して底をつきそうになっていました。

ですから、新大統領は即刻にも行動を起こさなければならない、差し迫った状況にあったわけです。

彼は直ちに3月9日に特別議会を召集し、緊急銀行法を成立させるとともに、全国的な銀行休日を宣言。


この間アメリカ全国に、緊迫感に満ちた日々が続きましたが、新政府の機敏な処置により、3月15日までには全国銀行の約半分が業務を再開し、これによって全銀行預金の90%が救われました。

この緊迫した銀行危機からの脱出に続いて、いわゆる「アメリカを震憾させたニューディールの100日間」がはじまるのです。

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